2006年10月7日
レモンの日
今日(正確に言うと、もう昨日)は
高村光太郎の妻・智恵子の命日
その日を詠ったのがこの詩。。。
「レモン哀歌」智恵子抄より
そんなにもあなたはレモンを待つてゐた
かなしく白いあかるい死の床で
私の手からとつた一つのレモンを
あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ
トパアズいろの香気が立つ
その数滴の天のものなるレモンの汁は
ぱつとあなたの意識を正常にした
あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ
わたしの手を握るあなたの力の健康さよ
あなたの咽喉に嵐はあるが
かういふ命の瀬戸ぎはに
智恵子はもとの智恵子となり
生涯の愛を一瞬にかたむけた
それからひと時
昔山巓(さんてん)でしたやうな深呼吸を一つして
あなたの機関ははそれなり止まつた
写真の前に挿した桜の花かげに
すずしく光つレモンを今日も置かう
。。。邦画の監督さん。
今映画にするなら智恵子抄ですよ絶対。
このシーンを誰よりも美しく、はかなく、
言葉少なく雄弁に描ける人じゃなきゃ絶対ダメですけど。
投稿者 Papan : 01:06 | 日常 | - | -
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