2006年2月9日

おばけなんてないさ

最近、自分が子供のころの童謡や子供番組で流れていた歌をこどもたちに無理やり聞かせ、一緒に歌っている。

その中でも、今でもまだ残っている歌はこどもも楽しんで歌ってくれる。

「一本でもにんじん」「たいこのおけいこ」など。
特にお気に入りなのは「おばけなんてないさ」。
槇みのりさん作詞、峰陽さん作曲のこの歌は、今でもファンが多いらしい。

こどもは、「れいぞうこにいれて かちかちに」しちゃったり、
おばけが「こどもなら ともだちに」なったり、
「おばけの くに(で)は おばけだらけ」だったりするのが面白いらしい。

僕も実は小さいとき、怖くなったらこっそりこの歌を口ずさんでいた。
こどもたちに勇気をくれる名曲だね。

ただ、この曲にはこどもとは言えなくなってからの
エピソードもあったりする。

中学生のときに、夜学校のグランドの隅にある体育倉庫の裏にみんなで集まった。
あるチームはタバコをくゆらせ、わざわざ集まってきたくせに「ダリぃ」を連発、
あるチームはなぜか夜のマラソンをしていた。

その夜も、同じように体育倉庫の裏に集まって、
ませガキみんなで、誰にでもなくひと通り悪態をつき、
程よいところでタバコチームを残して、僕らマラソンチームは出発した。

コースは米軍の連絡基地で、人気のない野原。
そのころまでに神隠しのような事件もあった。
僕らは3、4人いたので、時折しゃべりながら走っていた。
たぶん冬だったと思う。

なだらかな下り坂を折り始めた。
すると突然、本当に不自然な、なんともいえない生暖かい風が
僕らに向かって吹いてきた。

僕らはお互いに話すことなく、背筋が凍った。
そして誰からともなくきびすを返して、
一目散でもと来た道を凄いスピードで引き返した。

しかも、大声で「おばけなんてないさ」を歌いながら。

声変わりした14、5歳の少年たちが
夜中に「おばけなんてないさ」を歌いながら、ダッシュしている。
思い浮かべてもらっても結構。

一番の歌詞を全員で延々歌ったのだが、
たぶん、僕が歌い始めたような気がする。

でも本当にそんな気分だったんだ。
気分じゃない、必然だったかも。

そんなこともあって、僕には特別な歌。
こどもはそんなことどうでもいいけどね。

投稿者 Papan : 01:53 | 子育て